第3章食事の話 第1節 実は食事が治療と予防のポイントであること2項・控えた方がいい食材と、調理時のコツ
知らず知らずに摂取して、認知症へ近づいている場合も
認知症の方の脳内で見つかるものに重金属や細菌、カビがあります。
これらは、摂取しない限り脳内には出現しないものばかりです。即ち、知らず知らずに摂取しているということです。これらは、食品として身体に取り込まれ、脳に運ばれて蓄積します。重金属では水銀などが有名ですが、これはマグロに含まれて入ってきます。
マグロは海の食物連鎖の頂点に立つ魚です。小魚が摂取したものをそれより強い魚がえさとして食べ、ということを繰り返して濃縮され、大型の強い魚に多く取り込まれて、最後はヒトの食材として身体に入るわけです。
そのため魚ではサケ、サバ、イワシ、ニシン、アジ、サンマなどで天然物が良いのです。
これらを総合してみると、食材として、糖分摂取の観点からは、控えた方がいいのは甘いもの全体、お米、パンなどの炭水化物、炭水化物の多いでんぷん質、マグロなどの魚類、抗生物質の餌と人工肥料などで育成された鳥や豚、牛肉などがあります。
積極的にとった方が良いのは緑黄色野菜や葉物野菜の類です。
これらは、「控えた方が」という表現で示しますように、過剰に摂取しないようにということですので「食べてはいけない」ではありません。
味を変えずに、塩分量・砂糖量を減らす
認知症高齢者では、舌の味覚センサーの味蕾が減少するため、それまでの味付けでは薄く感じて物足りない気分になります。
それで多くの高齢者の方は、お醤油や塩をたくさん振りかけてしまわれます。ですが、高齢者では一日の必要カロリーは低くなっていますので、食べる量は減っているので、食事は少量にして同じ量の調味料で味付けをすると、相対的に味が濃くなります。
これで良いのです。
摂取する調味料の量は増えずに、全体量を減らすことで塩分量、砂糖量は増えないでOKです。
料理の温度も大切です。
味覚の感度は味により多少違いがありますが、料理が大体40度前後の時にヒトは、味覚が敏感になります。
したがって、美味しく食べていただくには、この温度が目安になります。
ちょっと横にそれますが、味付けに失敗したときは、熱くして出すか、冷やして出せば味は誤魔化せます。
占部 新治(うらべ しんじ)
- 経歴
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- 1976年
- 北海道大学 医学部 医学科卒業
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1980年
- 北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
- 1981年
- 北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
- 1995年
- 札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
- 1999年
- 札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
- 2001年
- 札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
- 2007年
- 北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
- 2011年
- 京都 三幸会 北山病院 副院長
- 2013年
- 京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
- 専攻領域
- 精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
- 主な著訳書
- 日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
- 主な著書
- 臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
- 所属学会
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- 精神神経学会 専門医、専門指導医
- 老年精神医学会専門医、専門指導医
- 認知症学会専門医、指導医
- リハビリテーション医学会 臨床認定医
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