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コラム

認知症全般知識に役立つコラム

認知症学会専門医 占部 新治先生による、「認知症全般知識に役立つコラム」です。第1〜第4 金曜更新!

占部先生のプロフィール

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第2章 対応の話 第1節 認知低下、どう対処したらよいのかの秘訣3項・不眠への対応

入眠できない場合は生活リズム形成を。

一つ目は、入眠できない場合です。夜22時を回っても目が閉じず、起きてられてこれ以上入眠が遅くなると生活リズムが崩れてしまう場合、この場合は生活リズムの形成と維持をすることが目標となります。
従って、夜は眠れる時に寝て頂いて、朝は眠くても起きて頂き午前中の日光浴をするようにします。睡眠では、努力して眠ることはできませんが、努力して起きることは出来ますので、リズム形成の最初はとにかく頑張って起きて頂くことにつきます。そして、日光を浴びるのは光線療法より効果的で、特に午前中に日光を浴びると日内リズムに好影響を与えます。このやり方に手助けしてくれるのが、メラトニン刺激に関係するラメルテオンで、毎日同じ就寝時間に服用して頂くことで、体内時計を正常にしていきます。

室温を適温にして、排泄のリズムの調整を

二つ目は、夜中に途中覚醒される場合があります。これは睡眠の持続ができにくい場合になります。
たいていの場合は、トイレが近くて目が覚めて起きられるようです。従って、排泄の問題なので、泌尿器科や神経内科で頻尿の治療をして頂くように、受診を勧めます。夕食以降の飲水を減らしておくのも、持続睡眠の助けになります。寝床も季節に応じて冬は暖かく、夏は薄掛けにして、部屋の温度も適当にストーブやエアコン、扇風機を使って快適にしておくのも大事です。意外と就眠の環境がお粗末なことが原因であることもあります。夏場だと、夕食後にスイカなど食べるとトイレが近くなりますし、ビールなど飲酒も排泄を促進しますので要注意です。(医療施設や施設ではまずないでしょうが)

早朝覚醒は様子見を。一日の睡眠量でみてください

三つ目は、早朝覚醒と言われる朝早く目が覚めてそのまま朝を迎える場合です。特に高齢者では、生理的に早い時間に覚醒するようになりますので、少しの時間であれば問題にせず、潔く諦めて昼寝などして一日としての睡眠量があれば良しとすることで、細かく問題にする必要はないと考えます。逆に神経質になり過ぎて更に眠れなくしてしまう場合もあります。

しっかり睡眠時間がとれているのに熟睡感が感じられない場合

四つ目は、十分な時間眠っているが熟睡感が感じられない場合です。この時は、睡眠開始と目覚める時間を聞いて、寝ているから大丈夫ですよと安心感を与えるように説明することも良いでしょう。
また、夢を見たかどうか聞いて、夢を見ておられないならそれは熟睡してるからですよと説明をして、夢を見ておられるなら睡眠サイクルできているので心配ないですよと説明をして安心して頂くのも良いかと考えます。  睡眠の計測は、今はITを利用しますと大変簡単にできます。たとえば、アップルウオッチで簡単に測定できて何日ものデータを表示できますので、情報としては活用しやすいグラフ、図として見られます。夢見ているREM睡眠(Rapid Eye Movement Sleep: REM sleep) も身体の動きが多くなるのでしっかり表示されて分かり易いです。
また、IT測定での結果なので、納得しやすく説明に使うと分かり易いので説得力が増します。

先ずは理由や原因を聞いて対応してあげてください

細かく分けられない睡眠の問題では、どうしたのか尋ねて、起きてられる理由や原因を先ずは理解することに努めましょう。

よくあるケースは、トイレと空腹、そして時間が分からず昼間と思っておられる事が多いです。このような時には、尋ねる際にお腹が空いていないかを聞いて、空いておられるなら、軽食を進めて食べて頂いてから睡眠に誘導しましょう。
時間を間違っておられるなら、外の景色を見ながら話しをして、時に何か食べ物を出して進めながら話をすると意外と早く寝床に向かわれます。それでもしっかり覚醒して目がらんらんと輝いておられるなら、しばらく一緒に歩いてあげましょう。5~10分程度で休みますとおっしゃられることが多いです。
方向性としては、「リズム形成と環境整備」です。

占部 新治(うらべ しんじ)

経歴
1976年
北海道大学 医学部 医学科卒業
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1980年
北海道大学 大学院 医学研究科生理系修了 医学博士
1981年
北海道大学 医療技術短期大学部 理学療法学科 助教授
(現:北海道大学 医学部 保健学科)
1995年
札幌医科大学 精神医学講座 講師 外来医長
1999年
札幌医科大学 保健医療学部 作業療法学科 教授
2001年
札幌医科大学 大学院 保健医療科学研究院 教授
2007年
北海道大学 大学院 保健科学研究院 教授
2011年
京都 三幸会 北山病院 副院長
2013年
京都 三幸会 第二北山病院 副院長 現在に至る
専攻領域
精神医学、 神経科学、 リハビリテーション医学
主な著訳書
日経サイエンス「 運動の脳内機構」 E.V.Everts著
主な著書
臨床精神医学講座 S9 アルツハイマー病(中山書店)、精神医学 標準理学療法学・作業療法学 専門基礎分野(医学書院)、「学生のための精神医学」(医歯薬出版)
所属学会
  • 精神神経学会 専門医、専門指導医
  • 老年精神医学会専門医、専門指導医
  • 認知症学会専門医、指導医
  • リハビリテーション医学会 臨床認定医

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